イボは大きく二種類に分けられます。
ひとつは“ウイルスが原因でできるイボ”、もうひとつは“紫外線や加齢が原因でできるイボ”です。
紫外線や加齢が原因のイボはウイルス感染ではなく、長年の紫外線による障害や、加齢による皮膚の老化、また洋服の摩擦による刺激などが原因で起こると言われています。突然起こるものではなく、年月をかけて徐々にイボができるのが特徴です。
脂漏性角化症 (老人性いぼ)
特徴 表面がざらざら褐色や黒色に盛り上がる。顔や手、腕などにできる。
原因 長年紫外線を浴びてできる
軟性線維腫(スキンタッグ)
特徴 数ミリ程度の柔らかいでっぱり。首やわきの下、鼠径部にできる。
原因 摩擦や加齢、紫外線など
治療
基本的には経過観察で問題はありません。痛みや痒みがある場合や希望がある場合には以下の治療法があります。
液体窒素療法(凍結凝固法)
液体窒素を患部に綿棒で押し当てます。
イボは、1回の治療で治すことは難しく、何回も繰り返して治療を行う必要があります。
1~2週間に1回行うのでこれを目安に再診してください。
液体窒素療法以外には、局所麻酔の注射後にメスで切ったり、電気を用いて焼き取る方法があります。症状に合わせて治療法をご提案いたします。
\治療のPOINT/
□液体窒素は、とても冷たいので、治療中は痛みを感じます。治療後もジンジンした痛みを感じることがあります。治療後の生活に支障がないように、患者さんの状態を確認しながら、治療の強さを決めます。
□液体窒素療法後は、そのまま普段通りの生活をして下さい。基本的には薬も消毒も必要ありませんが、必要に応じて抗菌薬を処方します。
□液体窒素療法では反応が強いと水ぶくれや赤く腫れることもあります。これは一時的なもので心配はありません。大きな変化が現れたときや不安なことがあれば受診してください。
初夏の訪れとともに、子供は外遊び、大人はガーデニングやハイキングなど、野外での活動が多くなりますが、それに合わせるように、皮ふに有害な虫も、活発に活動するようになります。この時期(主に5月から9月)に首から腕や腹部、背部に、かゆみの強い赤いポツポツが突然多発したら、それは「毛虫皮膚炎」かもしれません。
最近、「チャドクガの幼虫」による毛虫皮膚炎の患者さんが増加しています。
症状:体の左右どちらかに片寄ってかゆみの強い真っ赤な丘疹(ポツポツ)が、首、腕、体に多発します。
原因:チャドクガの幼虫の毒針毛に触れたことでなります。チャドクガの幼虫はツバキ、サザンカの葉にとりつくため、庭の手入れや公園の植え込みに近づいた後に被害を受けることがあります。幼虫(毛虫)に接触したことに気付いていない場合が多いようです。幼虫(毛虫)には無数の細かい毒針毛がありツバキやサザンカに近づいたり葉に触れるだけで被害を受けます。毒針毛が風に乗って洗濯物に付着し、被害を受けることもあります。
治療:ステロイド外用薬を塗布します。かゆみが強い場合は抗アレルギー剤やヒスタミン剤を内服します。通常は一週間以内にかゆみは良くなります。
予防:チャドクガの幼虫は主に5月から9月に発生するので、この時期はツバキ、サザンカに触れないように気をつけましょう。
鶏眼(けいがん)(俗称:うおのめ)とは
鶏眼は、通常大人の足にできる直径5mmほどの硬い皮膚病変です。歩行時に痛みを伴うのが特徴です。中心に芯が見えるので俗にウオノメと呼ばれています。
一定部位に繰り返し刺激が加わり、角質が厚く芯のようになり、芯が神経を圧迫して痛みを生じます。子供は一般的に皮膚が柔らかいため、鶏眼ができることは少なく、うおのめを主訴に受診されたお子さんのほとんどは、ヒト乳頭腫ウイルス感染による尋常性疣贅(いぼ)です。鶏眼は食い込んだ芯をしっかり除去することが必要です。中心部の芯の部分をメスやニッパー、ハサミで切除します。場合によっては鶏眼の大きさに合わせて切ったスピール膏を貼り角質を柔らかくした後に処置を行います。疼痛軽減や再発予防のためPediPAD(ドーナツ型のクッション)などを用いて圧迫除去を行うこともあります。
また、CO2レーザーで角質を蒸散させて治療することもあります(自費診療)。
べん胝(ベンチ)(俗称:たこ)
ベンチも同様に、皮膚の一部が慢性の刺激を受けて厚くなりますが、鶏眼と異なり、刺激を受けた部位全体の皮膚が少し黄色味を帯びて盛り上がり、痛みは無いことが多いです。ベンチは足底以外にも、生活習慣により、身体の様々な部位に生じます。(座りだこ、子供の指しゃぶりたこ、ペンだこ、ゲームたこ)ベンチは硬くなった角質を軟膏などで柔らかくしたりスピール膏やハサミ、メスなどを用いて適宜除去します。
治療だけではなく、生活習慣でも注意が必要です。鶏眼やベンチの原因である「同部位への慢性刺激」は不適切な靴や、生活習慣などが原因で生じるため、このような原因を見つけて、可能な限り除去することが最も重要です。
自分で削ることもできますが、セルフで行うことはなかなか難しいと思います。当院では鶏眼、ベンチ(たこ)の処置も行っておりますのでお気軽にご相談ください。
帯状疱疹は、「水痘帯状疱疹ウイルス」を原因として発症する病気です。
このウイルスが初めて感染したときは、水ぼうそうとして発症します。治った後もウイルスは長い間、神経の細胞に潜んでおり、普段は免疫によって活動が抑えられています。
加齢やストレスなどで免疫能が低下するとウイルスが暴れ出します。ウイルスは神経に沿って移動し皮膚に到達し帯状疱疹を発症します。日本では成人のおよそ9割以上がウイルスを体内に持っていると考えてられています。
症状は、
水ぶくれを伴う赤い発疹が、体の左右どちらかに帯状に現れます。
強い痛みを伴うことが多く、症状は3〜4週間ほど続きます。治療は、ウイルスを退治する抗ウイルス薬や、痛みを抑える鎮痛薬などを使います。抗ウイルス薬による治療はできるだけ早く開始することが大切なので、帯状疱疹かなと思ったら早めに受診してください。
多くは腕や胸、背中に症状が出ますが顔や首などに生じることもあります。
帯状疱疹による痛みや外見によって、日常生活が制限されてしまうこともあります。
例えば・・・
🌟痛みがひどくて、体を動かせない
🌟顔や首の発疹が気になって、外出できない
🌟痛くて、家事や仕事ができない
🌟痛みがひどくて、眠れない
帯状疱疹の発症率は50代から高くなります。帯状疱疹患者の約7割が50歳以上です。日本では、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。帯状疱疹は、体の免疫力が低下した時に発症します。免疫力の低下は、加齢、疲労、ストレスなど誰にでも見られる、ごく日常的なことによっても起こります。まだまだ元気と思っていても帯状疱疹になることがあるかもしれません。
帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、何ヶ月、時には何年も痛みが残ってしまう帯状疱疹後神経痛(PHN)になる可能性があります。50歳以上では約2割の患者さんがPHNに移行すると言われています。
他にも帯状疱疹の後遺症として
●角膜炎などによる視力低下・失明
●難聴、耳鳴り、めまいなど
があります。
50歳以上の方は帯状疱疹をワクチン接種で予防することができます。帯状疱疹のワクチン接種は医師にご相談ください。
もちろん予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。日頃から体調管理を心がけ免疫力を低下させないことが大切です。
今年のゴールデンウィークは、おうち時間を過ごしました。
いつか読もうと思っていた本を読んだり、録りためていた大河ドラマを見たりしてリフレッシュできました。本当は、いろんなところに遊びに行きたいんですが、もうちょっとの我慢ですね。
ところで、皆さんは軟膏やクリームなど背中に塗るときはどうしてますか?
私は以前は一人でできていましたが、歳をとって関節が硬くなったせいか手が届かなくなりました。幸い、家族がいるのでお願いすると塗ってくれます。皮膚科では軟膏を多く処方します。よく耳にすることが「一人暮らしで背中に塗れない」「家族はいるが、誰も塗ってくれない」「手が届かない」などの声を聞きます。
そういうときに何かいい方法はないか考えていましたら、便利なアイテムがあることを知りました。
「軟膏ぬりちゃん」です!
塗りにくい患部にひとりで楽に塗れます。肩や腰、首などにもスムーズに届いて疲れません。プレート部分を半回転させればカーブがついて使いやすい孫の手としても使えます。あまり掻くのはお勧めしませんが・・・。
ネットで販売されていますが、当院でもお求めできます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
軟膏ぬりちゃん=1200円(税別)です。
桜の花も散り、新緑の季節となりました。これから登山など行かれるかたも多いのではないでしょうか? 登山や野山に行かれる方は植物にかぶれることがありますので今日は植物かぶれについてお話したいと思います。
かぶれは接触皮膚炎といって、触れた物の刺激からおこる皮膚の炎症です。ウルシなどにかぶれると、皮膚に赤い斑点ができ強いかゆみを感じます。
一口にかぶれ(接触皮膚炎)といってもいろいろな種類があります。
1)刺激性接触皮膚炎
洗剤の原液のような強い刺激の成分に触れておきる皮膚炎や、水仕事での主婦湿疹のように一度の接触では何ともないが弱い刺激を反復することで炎症をおこしてできる皮膚炎があります。
2)アレルギー性接触皮膚炎
その物質に対してアレルギーのある人だけが過敏反応をおこして皮膚炎を作ります。植物かぶれの多くはアレルギー性接触皮膚炎ですから、同じ植物に誰が触っても異常をおこすということではありません
【野外編】
植物かぶれの代名詞のようなウルシですが、実際には野生のものはそう多くはありません。野外で一番注意しないといけないのは、毒性の強いツタウルシです。イチョウでは種子(ぎんなん)の周りの悪臭のある部分でかぶれをおこします。イラクサ・センニンソウではアレルギー性ではなく、刺毛や液汁に刺激物質を含んでいます。
ウルシ(ウルシ科)
乳液を塗料とするため栽培される。かぶれ植物の代表↓
ツタウルシ(ウルシ科)
つる性で秋に紅葉する。野外に多く、毒性が強いので注意↓
イチョウ(イチョウ科)
種子(ぎんなん)の周りの悪臭のある部分でかぶれる。↓
イラクサ(イラクサ科)
植物体の表面に毒の入った毛があり、触るとかぶれる。↓
センニンソウ(キンポウゲ科)
山野に多いつる性の草。液汁が皮ふにつくと水疱ができる。↓
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)
道端に見られる。作用はセンニンソウと同じ↓
コロナの第四波で自粛要請が出てますが、外出の際にはお気をつけてください。
今回は、引き続きステロイド外用薬のウソとホント③のクイズを出したいと思います。
ステロイド外用薬を中止するとリバウンドが起こる?
答え・・・ウソ
使用法が適切でないと、症状が悪くなることもありますが、それを”リバウンド”とは言いません。
慢性の病気では、症状が落ち着いているようにみえても、病気としては続いているわけです。したがって、自分勝手に判断して、ステロイド外用薬をはじめとした治療を中止すると、病気は再び勢いを増して、ときにはひどい症状になってしまいます。これをステロイド外用薬のリバウンドと呼んでいることもありますが、これは間違いで、中止の仕方が適切でないために、単に元々の病気が悪化したものです。
一般にリバウンドとは、薬による治療を続けているときに、突然中止することによって、もともとの病気の症状以外に、別の強い症状が現れることをいい、ただ単に病気が悪化することをいうのではありません。
ステロイド外用薬で言われているリバウンドのほとんどは、元々の病気の症状が強くなったものと考えられます。症状を悪化させないためには、自分の勝手な判断でお薬を中止することなく、医師の指示どおり、上手に減らしていくことが大切です。
前々回お話したステロイド外用薬のウソと本当の2回目をクイズ形式で
解説していきたいと思います。
クイズ② ステロイド外用薬を使用すると、ニキビ、おできなどができやすなる?
答え・・・・◯ホント
解説 お薬を塗った部分の免疫力が低下するため、ニキビ、おできなどができることもあります。ステロイド外用薬を使用した場合、全身性の副作用は少ないですが、お薬を塗った部分の皮膚の免疫力が低下します。そうすると、その部分に細菌、カビがついてニキビやおできができやすくなります。このような状態になると、いままではとは違った症状が現れてくるので、「症状が変わったな」と感じたら、すぐに皮膚科に相談してください。早めにお薬を中止し適切な治療を行うことで、短期間のうちに治すことができます。
〜あなたの心配どんなこと〜
ステロイド外用薬を使うと白内障になるのですか?
ステロイド外用薬が使用されるようになった1950年代以前から、アトピー性皮膚炎で白内障を生じる患者さんがいることが知られていました。ステロイド外用薬が広く使用されるようになってからも、その発生率は変わっていません。今日では、アトピー性皮膚炎で白内障が生じるのは、かゆみのために目の周りをこすったり、たたくなど、主に外傷性の原因によるものと考えられています。ステロイド外用薬が目の中に入らないように上手に使って、目の周りの症状を良い状態に保ち、刺激しないことが大切です。
いわゆる「みずむし」は、医学用語で足白癬と呼ばれます。足の”みずむし”の3分の2は、人の皮膚の角質を栄養として生きるカビ(真菌)の感染症です。これは白癬菌と呼ばれる菌が原因です。これから白癬菌の活動が活発になる季節ですので今日は「みずむし」の話をしたいと思います。
白癬菌は足のほかにも、体、頭などさまざまな部位の皮膚に感染します。手足の爪にも入り込んで感染することがあり、この場合は爪水虫(爪白癬)と呼ばれます。頭部は頭部白癬(しらくも)、体に生じた場合は体部白癬(たむし)、手のひら・指の間は手白癬、デリケートゾーンは股部白癬(いんきんたむし)と言います。白癬菌は特に夏場に元気になります。最近は、暖房やブーツの流行により冬場でも白癬菌は活発になっています。女性の患者さんも増えています。
※足白癬の症状(半数の患者さんはかゆみがありません)
・足の指の間の皮がふやけたり、皮がむける。(趾間型足白癬)
・足の裏に小さな水疱(水ぶくれ)ができる(小水疱型足白癬)
・足の裏全体が硬くなってひび割れを起こす。(角化型足白癬)
家族に足白癬の方がいる場合は、スリッパやタオル、浴室のマットに白癬菌が付着している可能性があります。患者さん一人を治療しても、繰り返し足白癬にかかる心配がありますので、同居の家族も皮膚科を受診し治療を受けることが重要です。
🌟足白癬(みずむし)になりやすい行動
・プール、風呂場の脱衣所を裸足で歩く
・長時間、靴を履いたままでいる
🌟足白癬(みずむし)にかかりやすい条件の人
・足の指が太く、足指同士が接触しやすい人
・汗をかきやすく、靴の中の湿度が高い人
・糖尿病、動脈硬化など免疫の弱っている人
※足白癬の治療
・菌の増殖を抑える塗り薬(外用剤抗真菌薬)で治療します。
・頭部、爪、皮膚の深いところに菌が入ってしまった場合は、塗り薬だけでは治療が難しいので飲み薬(内服薬)で治療します。
🌟足白癬にを予防するために、日常生活で気をつけること
・足は石鹸でよく洗う(でも優しく、ゴシゴシしない!)
・足はいつも乾燥させておく
・靴をこまめに干す
・靴下は綿性(薄く通気性が良いもの)が良い
みずむし(足白癬)はしつこく治りにくい病気です。しかし最近では1日1回で効く優れた薬もあり、根気よく治療すれば、治せるようになりました。みずむしを治すのはやる気次第です!
当院ではしっかりと根治までサポートさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。