紫外線療法とは
紫外線療法とは、紫外線を数秒から数十秒照射し、治りにくいとされている皮膚疾患の治療法のひとつです。紫外線は、波長の長いものから、UVA(315~400nm)、UVB(280~315nm)、UVC(200~280nm)の3つに分類されます。紫外線療法で使用される波長は、UVAとUVBの2種類ですが、現在はUVBの方が副作用が少なく、安全で治療効果が高いことが分かってきており、当院でも主にUVBを用いて治療を行っています。特定の波長の紫外線を皮膚に照射することで、免疫反応や細胞増殖を抑える効果が期待でき、皮膚の炎症や痒みなどが改善されます。皮膚科で多く用いられている治療法で、患者さんの症状や部位に合わせて照射を行います。
このような症状でお悩みではありませんか?
- 皮膚が赤く乾燥してポロポロ取れてしまう
- 皮膚の一部が白く抜けている
- 手の平、足の裏に小さな水ぶくれができている
- 部分的に髪の毛が抜けた
- 皮膚が赤くなってかゆみが治らない
- 飲み薬や塗り薬で治療の効果が出ない
紫外線療法が有効な皮膚の病気
治療の流れ
診察
症状や皮膚の状態を診察します。治療の適応内か診断します。
初回照射、テスト照射
初めは弱めの照射から開始して、反応を見ながら照射のレベルを設定していきます。皮膚の状態によっては、テスト照射を行う場合があります。
照射開始
症状や肌質に合わせて、照射のエネルギーを設定し、治療を行います。
治療継続
週1〜2回程度が基本となりますが、症状の改善を見ながら定期的に治療を継続していきます。
当院の紫外線治療器
当院では、3台の紫外線治療器を導入しており、患者さんの症状に合わせて使い分け、治療を行っています。
ターゲット型エキシマライト(VTRAC)
健康な皮膚に紫外線が当たるのを極力避け、病変部のみに限定して波長308nmのUVBを照射できるターゲット型の治療器です。VTRACは、エキシマライトの中でも、高輝度の紫外線を照射することができ、従来の紫外線療法では残ってしまう、真皮性病変を含む難治性の病変部にも適応が高いと言われています。照射時間も非常に短くて済み、患者さんの負担も軽減されます。
部分型紫外線治療器(JTRAC)
波長311nmを中心とした、特定の狭い範囲(ナローバンド)のUVBを照射する治療法です。JTRACは、照射範囲が広く、あらゆる体勢や当てにくい部位にも、効率良く短時間で照射することができる部分型の治療器です。従来のモデルよりも副作用が少ないとされており、より安全に効果的に紫外線治療が行えます。乾癬だけでなく、その他の皮膚疾患に対しても効果を発揮します。
全身型紫外線治療器(ダブリン3シリーズNeoLux)
ナローバンドUVBランプ10本を搭載しており、中に立った状態で、全身の広範囲に対して波長311nmのUVBをを均一に当てることができます。部分型では治療が難しい全身に症状が見られる場合に用います。飲み薬や塗り薬では良い効果が得られなかった方も、併用して改善させていくことができます。また、1回あたりの治療時間も数分と短く、少ない治療回数で高い効果を感じることができます。
よくあるご質問
- 痛みや赤みが出ますか?
- 痛みや熱感はほとんどありません。照射した部分に少し赤みが出ることがありますが、数日でおさまります。
- 副作用はありますか?
- 紫外線療法は、安全性の高い治療法ですが、紫外線と同様、長時間浴びると、皮膚の赤みやほてり、やけどなどを生じる可能性があります。最初の照射は、弱めの照射で患者さんの状態を確認しながら、適切なエネルギーでの治療を行います。ご心配な点がありましたら、遠慮なく医師にご相談ください。
- 治療期間や頻度はどれくらいですか?
- 最初は、週に1〜2回の治療から始めていきます。その後は、症状の状態を見ながら、治療の間隔を決めていきます。疾患によって、治療期間が異なりますので、詳しくは医師へお尋ねください。
- 紫外線療法を受けられない人はいますか?
- 光線過敏の方(膠原病、色素性乾皮症、白皮症、ポルフィリン症など)、皮膚がんの既往歴のある方、皮膚がんのリスクが高い方、免疫抑制剤を内服中の方、日光に当たることができない方などは、紫外線療法を受けることができません。
- 治療後すぐにメイクをしてもいいですか?
- メイクは治療後からすぐにしていただけます。
- 保険適用ですか?
- 適応疾患に対しての紫外線治療は、保険が適用されます。